milky way 今日は、年に一度の彼らの密会。輝くミルクの川を渡って、365日に一度だけの逢瀬を味わうのだろう。それは、どんな色?どんな匂い?どんな輝き? 密会を楽しむ彼らの人権を擁護するかのように、空を分厚い雲がしまいこんでしまった。闇から降り注ぐ雨は、感動の再会に堰を切ったように溢れる涙の雫かな。雨のリズム、人の匂い、電車の音。私はホームに座ってじっと待っていた。 彼は、巨大な鉄の塊の運転士。蛇のように長くのびたそれで、地上に走る刹那の天の川を演出する。今日も会えるのはたぶん明日になってから。彼らの天空での逢瀬が終わってから、私と彼の七夕が始まる。 彼と一緒に帰ってから、折り紙で短冊を作って、ベランダのフェンスに括り付けた小さな笹に吊した。 「何書いたの?」 彼が私の顔を覗き込んで問う。 「『来年は彼らの密会を一緒にのぞけますように』」 「俺は『来年はお空にミルクこぼしませんように』」 「意味わかんないね」 言って笑いあう。意味なんて、わからないくらいが丁度いい。その方がロマンチックだもの。 雨は、今夜中降り続けるという。よっぽどうれしくて、涙が止まらないのね。 私たちの七夕は、彼らの優しい涙の音に守られて、ゆっくりと更けていった。 20090707 ※今回主張したかったこと 「短冊に書いた願い事は、絶対に叶わない」 さんまさんがテレビで言ってて、妙に納得してしまったので。 今年は「叶わないほうがうれしいこと」を短冊に書きました。みなさんの七夕はいかがでしたか? |